iPhone8・Xに受け継がれた「4」のDNAとは

Photo by Apple

こんにちは。ChoKaiSekiです。
ここでは、過去記事で今後の課題としていた、iPhone8系のデザインとおよび、Xのデザインの解説の残りを解説します。iPhoneXのデザイン解説記事はこちら




1 シンメトリー

iPhone4のデザイン解説記事(リンク)では、iPhone4を表裏が対称になっている点に着目して説明しました。上下左右だけでなく、表裏が対称である点で、それまでのiPhoneよりも優れたデザインであったわけですが、iPhone6・も表裏対称性を持っています。

ただ、表と裏では素材が異なります。表面はガラスですが、背面はアルミニウムでした。
iPhone8(とX)は、デザインの基本はiPhone6・7から変わりないものの、背面がガラスになったことで、完全な表裏対称性を獲得したことになります。

一見するとiPhone8は背面がガラスになったことで、筐体を構成するパーツがおおよそ2つに増加しています。これは無線充電を実現するために電波を遮断しないガラスが用いられたことによるものですが、パーツ数の増加はデザイン的にはマイナスです。この問題を過去記事で今後の課題として棚上げしていました。

しかしパーツ数は増加するものの、素材レベルでの表裏対称性を獲得する点では優れていると言えます。
アップルが推し進めるワイヤレスな体験を実現するために無線充電に対応させる中で、不可避的に素材レベルでの表裏対称性が獲得できるというのは、うまい流れだと思います。

2 具体的な検討

この素材レベルの表裏対称性を画像で見てみましょう。これはiPhone8を側面から見た画像です。

iPhone8/Photo by Apple

私がこの説明を思いつかなかったのは、この画像の第一印象にあったと思います。
お気づきでしょうか、表と裏ではガラスの厚みが異なるように見えるのです。
これは、フロントガラスと筐体の間には樹脂製の部品が挟まっているため、これがフロント側を分厚く見せています。

Photo by Apple
フロントパネルと筐体の間にグレーの細い樹脂製ラインが入っている


実際にフロントパネルとバックパネルの厚みが同じかについて、目で見ても判然としないので、アップルが公開している寸法図面を確認してみました。


Photo by Apple/図中の製品名は筆者注(以下同じ)
 iPhone8の寸法


Photo by Apple
iPhone8 Plusの寸法

Photo by Apple
iPhoneXの寸法

これらはiPhone8、8 Plus、Xの3種の図面です。
この図面において、フロントパネルとバックパネルの厚みが同一であることが確認できたのは、iPhone8 Plusのみでした。8については、知りたい部分の厚みについての記載がないため不明です。Xについては、フロントパネルが0.41ミリメートル、バックパネルが0.51ミリメートルとなっているようです。

裏表のパネルの厚みが必ずしも同じではないのは気になりますが、表裏対称性が崩れるほどのサイズ差ではないのかなと思います。

3 色の違い

iPhone4では表裏が同一のカラーでしたが、iPhone8系,Xでは、背面はグレーもしくはオフホワイトになっています。表面はブラックもしくはホワイトです。

この背面の色味は、バックパネルに内側から塗料を塗り重ねることで独特の色味を作り出しているとのことです。これは加工技術の披露あるいは実験的な意味合いがあると思います。当然、iPhone7までとは異なる色使いで目新しさを演出する意図もあるでしょう。

そして、表裏で色を変えることでユーザーが表裏の区別をしやすくなるという小さなメリットもあります。

あとがき

私の記憶ではリーク段階で、iPhone4のようなガラスデザインになる、というような言及をする情報サイトがあったと思います。当時の私はiPhone4の本質を独特のシルエットを有するサンドイッチ形状だと考えていました。したがって6系デザインをベースに背面がガラスになったiPhone8を、「4」に似ているとする説明は疑問でした。

しかしながら、iPhone4の本質は、素材レベルでの表裏対称性にあることがわかったので、上記のような表現も間違いではなかったのだなと思います。


最後まで読んでいただいてありがとうございます。コメント等お待ちしております。


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