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こんにちは。ChoKaiSekiです。
本ブログでは歴代iPhoneのデザイン解説記事を掲載してきましたが、iPhone8のデザイン解説記事をもちまして、歴代デザインをすべて網羅しましたので、記念としてまとめ記事をここに書きたいと思います。
基本デザインが同じ「s」モデルなど、個別の記事にしなかったiPhoneについてここで補足する意味もあります。
はやく公開しないとiPhoneXの次が発表されてしまうので、発表前(記事公開当時)になんとか公開にこぎつけました。
初代iPhone
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まず目を引くのはベゼルを縁取る鏡面仕上げのステンレススチール製のフレームです。
このフレームとディスプレイは、額縁と絵画のような関係にあり、絵画に相当するディスプレイが主役であることを示し、そこに表示されるコンテンツを強調し引き立てる役割を持っています。また、同時に本体を構造的に強化する役割も果たします。
詳細は下のiPhone3Gの解説記事で解説してあるので、そちらを参照ください。
iPhone3G
表面のデザインは初代からほぼ変更なし。
筐体が初代のアルミニウム+プラスチックから、プラスチックのみに変更されました。初代と異なり、通信用モジュールが本体の上下に配置されているので、樹脂パーツを上下に配置する代わりにプラスチック製の筐体が採用されたと考えられます。
独特の曲線をえがいた筐体デザインについては個別記事で詳しく解説しているので、そちらを御覧ください。
日本初iPhoneはベゼルの役割が面白かった!〜iPhone 3Gデザイン〜
https://designed-by-apple.blogspot.com/2018/01/iphoneiphone-3g.html
iPhone3GS
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新型にもかかわらずデザインチェンジしなかった初めてのiPhone。「2年ごとに新デザイン」というiPhoneのデザイン法則を築きました。
また、第2世代にもかかわらず「3」が名前に入っていたiPhone3Gのネーミング上の違和感を修正することに成功しました。これ以降、数字でiPhoneをナンバリングするようになります。
また、外観の変更がないマイナーアップデートを表す「S」ネーミングの始まりでもあります。このときはSpeedのSでしたが、これ以降は形骸化して、単にマイナーアップデートである事を示すための記号となりました。
外観の変更はないものの、以後のiPhoneのネーミングやデザイン法則の基礎を作った点が興味深いiPhoneだったと言えます。
iPhone4
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表面と裏面のデザインが対称になっている、表裏対称性が最大の特徴です。表裏対称性を核心要素としてデザインされたiPhoneはこれ以前も以後も存在せず、歴代iPhoneの中でも異色の存在です(表裏対称性を備えているiPhone自体はこれ以降にも存在します)。
iPhone4からホワイトモデルのベゼルもホワイトになりましたが、これも背面をホワイトにするなら表面も対称的にホワイトにする必要があったから。
シンメトリーで読み解くiPhone4
http://designed-by-apple.blogspot.com/2018/07/iphoneiphone.html
iPhone4S
アンテナゲート問題を受けて、筐体(本体側面)のアンテナラインの位置が変更に。ミュートスイッチの位置なども微妙に変更されました。かように、あまり細かい部分の形状や位置の理由について考えても意味がない場合もあります。この側面のアンテナラインの位置はiPhone4Sで左右対称にすることに成功し、(たぶん)その後のiPhoneでも同じ左右対称の構成が採用されています。
iPhone5
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ダイヤモンドカットと呼ばれる、斜めに面取りして鏡面仕上げされたベゼル周りのエッジ処理が特徴。このエッジの処理は端末デザインにおけるエッジの処理方法として極めて優秀で、iPadのデザインにも継続的に採用されています。
そしてご存知の通り5系iPhoneが片手に収まるサイズとしては最後のiPhoneとなりました。5系では手の中におさまるサイズでのみ感じられる「所有感」を満たすために鏡面仕上げや、コントラストといった高級感を演出する要素がふんだんに使用されています。片手サイズiPhoneのラストを飾るのにふさわしいデザインと言えます。
詳しいデザイン解説は個別記事で。
iPhone5のデザインの緻密さは神業だ!
https://designed-by-apple.blogspot.com/2017/12/iphone5.html
iPhone5C
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iPhone5とどこまでも対照的になるようにデザインされたiPhone。色も素材も形状も何もかもが正反対になるように周到に作られています。同じ4インチディスプレイというホームファクタを用いながら、ここまで別物の製品を生み出すことができるのは驚き。
詳しい解説は個別記事で。
プラスチックの裏に隠された本質〜iPhone 5cデザイン〜
https://designed-by-apple.blogspot.com/2017/12/iphone-5c.html
iPhone5S
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ホームボタンに指紋認証機能「Touch ID」が採用された最初の製品。
ホームボタンをとりまく金属製のリングが指を置いたことを認識して認証を開始する役割を担っています。同時にこのリングがホームボタンを美しく装飾する役割を果たしています。合理的に必要である要素にもかかわらず装飾としても機能するデザインは見事と言うほかありません。
また、(デザインの変わらないiPhoneを売るために)新たにゴールドモデルが追加されました。高級なイメージと結びつくゴールドカラーを宣伝するCMはまさに「高級感」を絵に描いたような内容で、高級感のあるホームボタンのリングと相まって、iPhone5系デザインの高級感をさらに高める事に成功しました。
iPhone6
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現在のiPhoneのデザインの基本形を提示したiPhone。これ以降のiPhoneは、細かいデザインチェンジを除けば、基本的にデザインチェンジしていません。それほどこのデザインの完成度は高いのです。
長方形のタッチパネルディスプレイに厚みをもたせた、かまぼこ板状の直方体を基本形に、尖ったエッジをすべて丸めたデザインであり、上下左右裏表がすべて対称になっています。
このすべて丸めるという処理は歴代iPhoneの中でももっともシンプルであり、ディスプレイの大型化にもかかわらず野暮ったく見えません。また、複数の画面サイズに対応できるといったメリットもあります。
また、エッジがカーブした3Dガラスの採用によって、フロントガラスと筐体をなめらかに組み合わせることに成功し、独特のデザインを生み出しました。
iPhoneの本質を考えたら曲がるディスプレイの意味がわかってきた〜iPhone6のデザインのなぜ〜
https://designed-by-apple.blogspot.com/2017/11/iphoneiphone6.html
iPhone6s
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デザインは6から変更なし。
ただし厚みが6sで0.2mm増加しています。これ以降iPhoneの厚みは徐々に増加する傾向にありますが、iPhone6のデザインはこうした厚みの増加にも対応できるというメリットもあります。
iPhone7
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一般には3年連続同じデザインと思われていますが、細部のデザインは着実に改良されており、6系デザインのマイルストーンをなすデザインになっています。
まず、背面のDラインと呼ばれる電波を通すための樹脂素材(アンテナライン)の面積が減り、背面全体がアルミニウム素材になりました。特にジェットブラックと呼ばれる黒一色のモデルでは、樹脂素材とアルミニウム素材が黒く染色されて一体化しており、アンテナラインの存在がほとんどわからないレベルになりました。
また、カメラレンズの突起部分は、従来はリング上の別パーツで構成されていましたが、7では筐体と一体になっています。これは突起部分以外をすべて削り落とすという手間のかかる方法で製造されており、アップル社のアルミニウム切削加工技術の成熟度の高さを物語ります。
背面にアルミニウム素材を使用したiPhoneの到達点と言えます。私は今でもジェットブラックモデルがお気に入りです。
iPhone8
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無線充電に対応するために背面がガラス製になりました。表裏がガラス素材になったことで、素材レベルので表裏対称性を獲得した点に特徴があります。
iPhone8・Xに受け継がれた「4」のDNAとは
https://designed-by-apple.blogspot.com/2018/08/iphonexdna.html
iPhoneX
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鏡面仕上げの筐体は、前後のガラスパネルとの接合ラインを見つけにくくする効果があり、全体があたかも1つのパーツで構成されているかのように見えるという特徴があります。
iPhone Xデザインに見るアップルの執念深さは尋常ではなかった
https://designed-by-apple.blogspot.com/2018/07/iphone-x.html