ジョブズの口寄せ、やめませんか?

By Detroity2k
こんにちは。ChoKaiSekiです。ジョブズが死んで6年になりますが、今でも「ジョブズだったら許さない」系の発言が後を絶ちません。この手の発言の問題点をみなさんに伝えたいので記事にしました。



今日からあなたがCEO

ジョブズだったらどう考えるか分かるのであれば、今日からあなたがアップルCEOです。アップルのCEOにならなくても、会社を興して世界一の企業にできます。

経営の判断とデザインの良し悪しは違うのだという反論をする方もおられるでしょう。しかし、ジョブズのデザインの判断が分かって、ジョブズの経営の判断は分からないという方が不思議です。普通どちらも分かりません。

あるいは、経営は分からないがデザインは分かる、という確信はどこからくるのでしょうか。いったいどれぐらいデザインについて勉強したうえで言っているのでしょうか。別にデザインの学校に行っていない奴は発言するな、という話ではありません。しかし、だからといって特に理由も述べないで「ジョブズだったら……」と言っていいということにはなりません。

妄想です

ジョブズだったら云々というのは、完全に妄想です。イタコや口寄せと同じです。私はこれは間違っていると思う、で良いじゃないですか。なぜジョブズに代弁させる必要があるんでしょうか。ジョブズの口寄せはやめましょうよ。

余談ですが、デザインの良し悪しを判断する客観的な指標がないに等しく、芸術と同じく良し悪しの判断が権威に独占されてしまいやすい点は問題です

具体的な例を見てみましょう。
iPhone5cの有名な「non」についてのコメント。ちょうどiPhone 5cの「non」を調べていてみつけたサイトです。

ジョブズが健在なら、まず起こらないであろうデザインミスです
iPhone 5Cケースのデザインミス (non) を改善するリデザイン案

このサイトで紹介されていたのは、以下のデザイン。
iPhone 5c - For the careless.

筆者からすれば、こっちの方がよっぽど「ジョブズだったら許さない」デザインだと思います。せっかく綺麗に並んだドット状の切り抜きを、わざわざ「iPhone」を見せるためにかき乱す方が問題だと思うからです。あと、これでは「iPhone」の下に書かれている規制情報をうまく処理できません。この規制情報の配置自体はデザイン上のミスであると思いますが……

このように、「ジョブズだったら」の判断は人によって結論が異なります。当たり前の話なんですけどね。わざわざジョブズを出す意味が全く分からないです。

おまけ

この記事を書き終えてから、追加情報を調べていたら、ジョブズだったら云々はやめましょうという趣旨のことを書いている記事を発見。結論は同意ですが、デザインについてはあまり理解していない様子。

ジョブズとて絶対の天才ではなく、迷走していた時期も多いです。(中略)iMac G3。スケルトン。内部の構造が透けて見えます。透けて見えることに機能面の意味はありません。
「もしジョブズが生きていたらこんなiPhone・Macは出さない」と嘆く人々について
コンピューターとして「機能」するために必要かどうかだけでデザインを判断するなら、もはやコンピューターの外観にデザインは不要です。適当な箱に内部パーツを入れておけば「機能」するからです。

筆者も記事としてかけるほど初代iMacを研究したわけではないので、公式の解説を紹介しておきます。
フォルムの大部分は、もっとも重要な内部コンポーネントであるブラウン管と一体になって調和するようにデザインされています
Designed by Apple in California

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